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東京地方裁判所 昭和58年(特わ)65号 判決

本店所在地

東京都世田谷区代沢一丁目一三番一一号

光栄商事株式会社

(右代表者代表取締役田中貞明)

本籍

東京都世田谷区代沢一丁目一三番

住居

同区代沢一丁目一三番一一号

会社役員

田中貞明

昭和五年七月五日生

右の者らに対する法人税法違反各被告事件について、当裁判所は審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

一  被告人光栄商事株式会社を罰金一、〇〇〇万円に、被告人田中貞明を懲役八月にそれぞれ処する。

二  被告人田中貞明に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人光栄商事株式会社(昭和五四年二月一六日設立。以下「被告会社」という。)は、東京都世田谷区代沢一丁目一三番一一号に本店を置き、理容店及び飲食店の経営を目的とする資本金五〇〇万円の株式会社であり、被告人田中貞明(以下、「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五四年二月一六日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四、二三五万八、〇二五円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五五年二月二一日、東京都世田谷区松原六丁目一三番一〇号所在の所轄北沢税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二三九万五、〇七四円でこれに対する法人税額が六七万六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(昭和五八年押第三七三号の一)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一、六一七万三、二〇〇円と右申告税額との差額一、五五〇万二、六〇〇円(別紙(三)税額計算書参照)を免れ、

第二  昭和五五年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が五、二六三万一、一四五円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五六年二月二八日、前記北沢税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四三九万七、〇〇六円でこれに対する法人税額が一二三万一、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の二)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額二、〇二一万二、四〇〇円と右申告税額との差額一、八九八万一、三〇〇円(別紙(三)税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する各供述調書(二通)

一  倉本宗清、榎昭一、渡辺勲(二通)の検察官に対する各供述調書

一  登記官作成の登記簿謄本

判示各事実ことに過少申告の事実及び別紙(一)、(二)修正損益計算書の公表金額につき

一  押収してある法人税確定申告書二袋(昭和五八年押第三七三号の一、二)

判示各事実ことに別紙(一)、(二)修正損益計算書中の各当期増減金額欄記載の内容につき

一  収税官吏作成の売上調査書(別紙(一)、(二)修正損益計算書の勘定科目中各〈1〉。以下調査書はいずれも収税官吏が作成したものである。)

一  仕入調査書((一)の〈2〉、(二)の〈3〉)

一  役員報酬調査書((一)の〈4〉、(二)の〈5〉)

一  給料手当調査書((一)の〈5〉、(二)の〈6〉)

一  賃金(労務費)調査書((一)の〈6〉、(二)の〈7〉)

一  福利厚生費調査書((一)の〈8〉、(二)の〈9〉)

一  消耗品費調査書((一)の〈11〉、(二)の〈12〉)

一  通信費調査書((一)の〈12〉、(二)の〈13〉)

一  水道光熱費調査書((一)の〈13〉、(二)の〈14〉)

一  保険料調査書((一)の〈14〉、(二)の〈15〉)

一  広告宣伝費調査書((一)の〈15〉、(二)の〈16〉)

一  諸税公課調査書((一)の〈16〉、(二)の〈17〉)

一  修繕費調査書((一)の〈17〉、(二)の〈18〉)

一  受取利息調査書((一)の〈20〉、(二)の〈22〉)

一  役員賞与調査書((一)の〈21〉、(二)の〈23〉)

一  役員賞与損金不算入調査書((一)の〈22〉、(二)の〈24〉)

一  退職金調査書((二)の〈25〉)

一  事業税調査書((二)の〈26〉)

(法令の適用)

一  罰条

(一)  被告会社

いずれも昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項

(二)  被告人

いずれも行為時において右改正前の法人税法一五九条一項、裁判時において改正後の法人税法一五九条一項(刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑による。)

二  刑種の選択

被告人につき、いずれも懲役刑選択

三  併合罪の処理

(一)  被告会社

刑法四五条前段、四八条二項

(二)  被告人

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の刑に加重)

四  刑の執行猶予

被告人につき、刑法二五条一項

もって、主文のとおり判決する。

(求刑被告会社につき罰金一、二〇〇万円、被告人につき懲役八月)

出席検察官 上田勇夫

弁護人 東徹(主任)、太田孝久

(裁判官 羽渕清司)

別紙(一)

修正損益計算書

光栄商事株式会社

自 昭和54年2月16日

至 昭和54年12月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙(二)

修正損益計算書

光栄商事株式会社

自 昭和55年1月1日

至 昭和55年12月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙(三)

税額計算書

光栄商事株式会社

(1) 自 昭和54年2月16日

至 昭和54年12月31日

〈省略〉

(2) 自 昭和55年1月1日

至 昭和55年12月31日

〈省略〉

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